少しずつ夏に近づいてきました。暑い日には、熱中症に気を付けてこまめに水分補給をしてください。
今回は内視鏡検査の際に使用する鎮静剤(眠くなるお薬)について少しお話したいと思います。
大腸カメラなどの検査の前は、多くの方が病気や検査への不安があり、緊張されています。
以前の内視鏡検査で痛みや苦痛を自覚された方は、特にその傾向が強いです。
当院では、多数の内視鏡経験を活かし、最新の医療設備および二酸化炭素送気の使用等により
可能な限り苦痛なく検査・治療を終了するように努力していますが
緊張が強い方にとっては、どうしても検査自体が苦痛に感じられてしまいます。
鎮静剤は、この不安を消し去り、緊張を解いてくれるので
患者様にも優しいし、検査自体もスムーズに進行する手助けをしてくれます。
当院では、鎮静剤として主に「ミダゾラム」を用いています。
「ミダゾラム」はベンゾジアゼピン系薬剤で、通常の睡眠剤とほとんど同じ成分です。
眠くなる作用と伴に不安を抑えてくれる作用もあります。
ただ、「ミダゾラム」は体重や性別によっても使用量は異なっており、かつ個人の代謝によってもかなり効き方は違ってきます。
場合によっては、効き過ぎて呼吸抑制や血圧低下を来してしまう可能性もあります。
当院では今までの数千を超える鎮静経験から最適な使用量を判断すると同時に、
必ずベッドサイドモニターを用いて血圧や血中の酸素濃度等を常時チェックし全身状態管理を行っています。
検査・治療が終了した後に拮抗薬の「フルマゼニル」を使用しますが、
多くの方は「もう検査は終わったのですか?」と検査中のことはあまり覚えていません。
ただ、「フルマゼニル」の半減期(身体から薬効が下がる時間)が「ミダゾラム」より短いため、
1時間程度が経過したときに再度眠気が出る場合があるので注意が必要です。
当院では、大腸カメラだけでなく、胃カメラの際にも鎮静剤を使用することが可能です。
検査への不安があれば是非ともご相談ください。